食べるだけじゃない!コラーゲンの用途いろいろ

コラーゲンと言えば、「美容や健康に役立つ成分、サプリメント」といった風に認識している人が多いかと思います。
もちろんそれも正しいのですが、実はコラーゲンは食用以外にもさまざまな場面で用いられ、わたしたちの生活に役立っていることをご存知でしょうか?

コラーゲンに食用以外にどのような用途があるのか、主なものをご紹介します。

写真のフィルムや印画紙にもコラーゲン

近年ではデジタルカメラが普及して、フィルムで写真を撮ったり印画紙に焼き付けたりする機会が減りました。一方で、そんな時代だからこそフィルム写真に魅力を感じて趣味にしているという人も少なくありません。

実はフィルムや印画紙にも、コラーゲンが用いられています。コラーゲンを溶かして、臭化カリウムの溶液と硝酸銀の溶液を加えて混ぜたものが、感光の性質を持つ「写真乳剤」という物質です。これをベースとなる素材に塗って乾燥させたものが写真フィルムや印画紙です。

1871年に写真乳剤が開発されてから現在まで、フィルムや印画紙にはコラーゲンが使用され続けています。

写真のフィルムや印画紙にもコラーゲン

接着剤として用いられる「にかわ」はコラーゲン

楽器などの接着剤として使われる「にかわ」。その主成分はコラーゲンです。動物の骨や皮などを水で煮た液を固めたもので、古くから接着剤として利用されてきたようです。

日本でも、奈良時代にはすでににかわを利用していたという記録が残っています。長い間、主要な接着剤の一つとして利用されてきましたが、現在では多くの場面で石油化学系の接着剤が主流となりました。しかし、にかわの性質が適している用途においては、現在でも広く利用されています。

その一つが、木工用です。にかわは短時間で強力な接着力が得られる性質から、特に木工用の接着剤として古くから利用されてきました。熱と湿気によって容易に剥がすことができるため、調整や修理が必要なバイオリンなどの楽器類、仏壇・仏具などに現在でもにかわが使用されています。

接着剤として用いられる「にかわ」はコラーゲン

日本画や西洋絵画の制作、修復にも

にかわはまた、古くから墨や絵の具として絵画にも用いられてきました。古代エジプトの壁画にもにかわが使用されています。
現在でも日本画の制作では、画面に絵の具を固着させるためににかわが使用されます。
西洋絵画では、テンペラ画や油彩画のにじみを抑えるための下地としてにかわが用いられてきました。

また、室内装飾や舞台美術などに用いられる「ディステンバー」と呼ばれる絵の具もにかわを用いた塗料です。

コラーゲンの食用以外の用途をいくつかご紹介しました。
こうした用途のコラーゲンは食用や医薬品用のコラーゲンと比べ不純物を多く含んでいるという違いはありますが、基本的には同じものです。
コラーゲンは食用以外にもわたしたちの生活のさまざまな場面で用いられているのです。

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