腸内環境の乱れは、体調不良や肥満などの症状につながります。
そして近年では、腸内環境が精神状態にまで影響を及ぼすことが分かってきました。
うつや不安感を引き起こす原因は、「腸内フローラ」のバランスなのです。
人の腸の中には数百種類、百兆匹以上の細菌が棲んでいます。
腸内の細菌群は「腸内フローラ」とも呼ばれています。
「フローラ」とは、腸内の多種多様な細菌がまるでお花畑のように群れを作っている様子をあらわしたもの。 腸内フローラの状態は、体調やお肌の様子、肥満や病気など、人の体にさまざまな影響を及ぼしています。
そして近年では、腸内フローラが精神状態やうつ病とも関係しているのではないかと考えられるようになってきました。
腸内フローラのバランスは、人によって違います。
腸内に善玉菌がたっぷり棲んでいる人もいれば、悪玉菌の割合が多い人もいます。
悪玉菌が多い場合、腸には不要な老廃物がどんどん蓄積されていきます。
そして、その不要物が毒素となって、うつ病などの精神疾患にまでつながってしまうと考えられているのです。
つまり、腸が健康かそうでないかによって、体だけでなく心の具合まで変わってしまうのです。
実はこういった考え方は、19世紀頃からあったといいます。
昔から、腸がスムーズに働いていない人は精神的な不安やうつを抱えていることが多いと考えられてきました。
かつては体の治療ではなく、精神病の治療法とし下剤を飲むなどの処置も行なわれていたようです。
そして近年の医学の進歩により、腸内フローラの状態によって精神状態が変わるということが実証されつつあります。
人の腸内フローラと精神状態の関連性は、現在急速に研究が進む分野です。
例えば、腸内のバランスが悪いマウスは自閉症に似た症状を示したといいます。
そしてこのマウスの善玉菌を増やしたところ、正常な行動を取りやすくなったのです。
また、マウスにビフィズス菌を投与した実験では、一般のうつ病治療薬を投与した時よりも、ビフィズス菌の治癒効果の方が高かったといいます。
こういった研究を進める中で、腸内細菌と精神の関係性が次第に明らかになってきています。
人の腸内フローラのバランスを整えてくれる、精神状態に効果的な「サイコバイオティクス」の開発研究が現在、進められています。
例えば、善玉菌をたっぷり含むヨーグルトを毎日食べた人は不安感を持ちにくくなるのです。
うつや不安感を改善するなら、腸に良いものをたくさん摂取し、腸の状態を整えることが大切なのです。