最近、テレビや雑誌などでよく見かけるようになった「乳がん」という言葉。
自分には関係のない話と思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、近年日本人女性の乳がん罹患率は増加してきており、なんと生涯のうちに乳がんを患う女性は12人に1人と言われています。
さらに、乳がんで亡くなる女性の数も増加を続け、1980年代のおよそ3倍にも上ります。
今回は、女性が知っておきたい乳がんについての基礎知識をお伝えします。
乳がんとは、女性の乳房にある「乳腺」に発生する悪性腫瘍で、大きく「非浸潤がん」と「浸潤がん」の2つに分けられます。
非浸潤がんはがん細胞が発生場所にとどまっているタイプで、浸潤がんはがん細胞が血管やリンパ管を通って全身に移行していくタイプです。
浸潤がんは乳房以外の臓器に新たながんをつくる「遠隔転移」をする可能性があります。
日本における乳がんの主な原因は、以下の3つです。
■遺伝
一親等に乳がんになった人がいる場合、通常より罹患率が高くなります。
■エストロゲン
乳がんの発生には女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが大きく関わっており、エストロゲンの作用を受ける機会が多いほど罹患リスクが多くなると言われています。
エストロゲンの影響を多く受ける要因としては、「初経が早かった」「閉経が遅い」「妊娠・出産経験がない」「高齢での初産」「ホルモン剤の使用」などが挙げられます。
■食生活
飲酒や動物性脂肪の過剰な摂取が罹患率に関わるとされています。
また、皮下脂肪にはエネルギー以外に女性ホルモンを蓄える働きもあるため、肥満も乳がんリスクを高める要因のひとつとされています。
上記の原因に対し、乳がんの予防として行えることは「食生活の改善」と肥満予防のための「適度な運動」です。
罹患率を高めると言われている "動物性脂肪を多く含んだ" 生クリームなどの乳製品、肉類の摂取を控えるようにしましょう。
また、大豆食品を摂取することで乳がん発症リスクを減らせる可能性があるとの研究結果が上がっているため、積極的に大豆食品をとるのもオススメです。
肥満を予防するために、栄養バランスの整った食事をとるよう心がけましょう。
乳がんは早期に発見し、適切な治療を行うことで良好な経過が期待できます。
乳がんから命を守るためには、少しでも早く乳がんを発見することが非常に重要なのです。
欧米諸国では乳がん検診の受診率が向上し、死亡率は低下傾向にあります。
しかし、日本人女性の検診受診率は非常に低く、OECD(経済協力開発機構)加盟国30か国の中で最低レベルの36%となっています。
自分はきっと大丈夫と安心せず、定期的に検診を受診しましょう。
すべての女性に知っておいてほしい乳がんに関する基礎知識をお伝えしました。
普段から自分の乳房の状態を確認しておき、違和感を覚えた際や小さな変化が生じた際、すぐに専門の医療機関を受診できるようにしておくことも大切です。
乳がんに関する知識を正しく身に着け、自分の命をしっかりと守っていきましょう。