味噌汁が骨を丈夫にするって本当?

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日本人の平均寿命が高くなるにつれ、健康で自立した生活を送ることができる「健康寿命」との差が問題視されるようになっています。
健康寿命を延ばすための重要なポイントの一つが、寝たきりや認知症にもつながる「骨粗しょう症」を予防すること。

そのために重要になるカルシウムの摂取について考えていきましょう。



カルシウムは日本人に不足しがちな栄養素

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、日本人のカルシウム推奨摂取量は1日あたり600~800mg(年齢や男女によって異なる)と定められていますが、すべての年代において平均摂取量はこれを下回っています。

元来、日本人はカルシウムを含む海藻や魚を主に食べてきましたが、食生活が欧米化していくにともない、魚料理よりも肉料理やインスタント食品を多く食べるようになったことからカルシウムが不足しがちなのです。
カルシウムは丈夫な骨や歯を作るために欠かせない栄養素。
不足すれば骨密度が低下し、将来の骨粗しょう症のリスクが高まります。
意識してカルシウムを摂取するのが大切なのです。

日本人のカルシウム摂取に「味噌汁」がおすすめ!

手軽にカルシウムを摂取できる食品に牛乳があります。
牛乳はカルシウムの吸収率が良い食品で、学校給食にも取り入れられています。

しかし、日本人には牛乳を飲むとお腹が張ったりゴロゴロしたりする人が少なくありません。
これは、牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素が少ない人に起こる症状で「乳糖不耐性」と呼ばれています。
日本人にはこの乳糖不耐性の人が多く、その割合は8割以上とも言われているのです。
いかに牛乳のカルシウム吸収率が良いとは言え、牛乳を飲んでお腹の調子が悪くなってしまう人に牛乳からのカルシウム摂取が向いているとは言えません。

そんな日本人のカルシウム摂取に一番向いているのが「味噌汁」です。
大豆の加工品である味噌にカルシウムが含まれているのはもちろん、出汁をとるための小魚や具に利用される豆腐や海藻、野菜などにもカルシウムが含まれています。
また、味噌に含まれる大豆イソフラボンは女性ホルモンであるエストロゲンと似た働きをするため、骨からのカルシウムの流出を抑えてくれる効果も期待できるのです。

煮干しを丸ごと使う出汁で骨を丈夫に!

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味噌や具だけでもカルシウム摂取に役立ちますが、より多くのカルシウムを味噌汁から摂取するなら、出汁からとることをおすすめします。
とくに良いのは、かつおぶしではなくカルシウム豊富な煮干しから出汁をとること。
ミキサーなどで煮干しを丸ごと砕いて出汁に使えば、一杯の味噌汁に含まれるカルシウム量がぐんと多くなります。

さらに、煮干しにはカルシウムの吸収をサポートするビタミンDも含まれているので、骨を丈夫にすることにさらに役立ちます。
味噌汁は私たちの食卓になじみ深い料理ですが、最近では味噌汁を飲む機会が減っているという方も多いのではないでしょうか。
カルシウムを効率よく摂取するためにも、出汁や具を工夫した手作りの味噌汁を毎日の食卓に上手に取り入れていきましょう。